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2025.02.12

第42回 ai@ku定例セミナーを実施しました

2025年2月12日、第42回 ai@ku定例セミナーが開催されました。

演 題:放射線の挙動を見える化する
演 者:松原 孝祐(医薬保健研究域・保健学系 教授)

 モンテカルロ法とは,不確実な事象の起こり方(確率分布)が分かっている場合に,乱数を用いてその確率分布に従う多数のイベントを発生させて,その結果がどのような分布になるのかを検証する方法である。放射線と物質との相互作用は,ある確率分布に従うランダムな現象であるため,放射線の挙動をモンテカルロ法でシミュレートするというのは理にかなっており,この手法によって実際に放射線を発生させることなく,目に見えない放射線の挙動を計算機上で可視化することができる。たとえばX 線透視ガイド下手技において,検査室内の散乱放射線量の分布を可視化することができれば,それは術者や介助者の被ばく低減に寄与しうる情報となる。さらに,目的に応じたカウンタ(検出器)を任意の位置に設置することで,被検者の被ばく線量を推定したり,その位置におけるX 線エネルギー分布を推定したり,さらにはX 線画像を模擬的に作り出すこともできる。モンテカルロシミュレーションの最大の欠点は計算負荷であるが,現在,計算自体を高速化させるための取り組みや,画像生成系のAI を用いて,CT 画像やそこから得られた計算値から線量分布を示す画像を生成させるという取り組みを行っている。