第41回 ai@ku定例セミナーを実施しました
2025年1月15日、第41回 ai@ku定例セミナーが開催されました。
演 題:Lambert Eaton 筋無力症候群治療薬3,4-diaminopyridine の臨床薬学的研究-あるオーファンドラッグ開発の病院-大学連携の一例として-
演 者:松下 良(医薬保健研究域薬学系 教授)
Lambert-Eaton 筋無力症候群(LEMS:Lambert-Eaton myasthenic syndrome)とは四肢近位筋の筋力低下,筋萎縮,易疲労性,深部腱反射の低下,自律神経障害などを特徴とする希少疾病である。LEMS 治療には、3,4-diaminopyridine(3,4-DAP)が、神経筋接合部の膜電位依存K+チャネルを阻害することで臨床症状を改善すると考えられ1980 年代より臨床に供されてきた。しかし、3,4-DAP は,医薬品として認可されておらず、研究用試薬を用いた院内製剤が治療に供されてきた。つまり、非臨床試験、臨床試験、物性研究が十分に行われていないまま、臨床において20 年以上も使用されていたいう希有な存在であった。本研究は、院内製剤として3,4-DAP を調製していた薬剤師からの相談をきっかけに、2008 年から大学が協力して行ったものである。これまで我々は、3,4-DAP に関して、主に薬物動態の観点から、国立病院機構医王病院の医師、薬剤師らと協力し、健常人、患者における臨床試験を、大学にてラットを用いた薬物動態および薬効研究を実施してきた内容をオーファンドラックの開発の一例として紹介する。
3.4-DAP は、我々の研究とは別に、欧州でランダム化比較試験が行われ、2009 年に欧州では、医薬品として認可されたが、日本では、院内製剤が使われ続けてきた。そして、本年(2024 年9 月)、日本でも承認され、その一部に、我々の結果も引用された。