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2023.04.11

第23回 ai@ku定例セミナーを実施しました

2023年4月11日、第23回 ai@ku定例セミナーが開催されました。

演 題:血清尿酸値は何故維持され,いつ変動するか?
演 者:玉井 郁巳 先生
    金沢大学 医薬保健研究域・薬学系 教授

 尿酸は痛風の原因となることは広く知られており,血清尿酸値SUAが7mg/dLを超えると高尿酸血症HUAと診断され,腎疾患,循環器系疾患,肝疾患など多様な疾患との関連報告が多いため,生体不要物であるとの認識が強い。また,興味深いことはヒトと高等霊長類においてのみSUAは高く維持されている。ヒトでは腎臓で90%以上がトランスポーターを介して尿細管再吸収を受け,グルコースなど栄養物と同様に体内に維持される仕組みがあり,生体にとって必須物質とも言える。実際に,低尿酸血症は神経系疾患の発症と相関する調査もあり,尿酸の役割や多様な疾患との関連メカニズムは明確ではない。2010年以降にHUA治療のための日本発の新薬が複数上市され,世界的に使用されており,SUAに対する関心は高まっている。一方,SUAは様々な因子で変動し,それは遺伝,年齢,性などに加え,外因的な医薬品や食品など様々である。演者は,トランスポーターを基盤とした薬物動態を主研究対象としているが,SUA維持にトランスポーターが必須であるため関心を持ち,尿酸の調節と作用を調べている。本セミナーでは,尿酸研究の現状を演者の経験も含めて紹介し,古くから知られている尿酸ではあるが,未知な部分が多い現状を共有できればと思う。